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冬の作業着インナーの選び方|防寒・動きやすさ・安全性を両立する方法
2025.12.24
冬の現場では、寒さだけでなく「汗冷え」や「動きにくさ」による疲労、集中力の低下が起こりやすい。
アウターを厚くするだけでは十分な防寒にならず、むしろ汗をかいて冷えてしまう場合もある。
快適に作業を続けるためには、体温を適切に保ち、動きを妨げないインナー選びが大切だ。
本記事では、冬の作業着インナーがなぜ重要なのか、どのような素材や着方が現場に適しているのかを解説する。
さらに、市販品では対応しきれない課題を補う方法として、オリジナル作業着という選択肢も紹介する。
冬に作業着インナーが重要な理由
冬場の現場作業ではインナーが重要で、体温を保ちつつ、汗や風による冷えを防ぐための基礎をつくる。
外気温が低い環境では、体は自然と筋肉を収縮させて熱を生み出そうとする。しかし作業中に体を動かすと汗をかき、その汗が冷えることで「汗冷え」が起きる。
この汗冷えは、単なる不快感にとどまらず、体温低下による集中力の低下や、最悪の場合は低体温症の原因にもなる。
多くの作業者は、防寒対策として厚手のアウターを重ねがちだが、それだけでは根本的な解決にはならない。アウターで熱を閉じ込めても、インナーが汗を吸収・拡散できなければ、内部で湿気が滞留し、結果として体を冷やしてしまう。
防寒性を高めるためには、まずインナーが体表面の湿度と温度を適切にコントロールできることが前提となる。
つまり、冬場に快適で安全な作業を行うためには、「アウターよりも先にインナーを最適化する」ことが重要である。
インナーが体温維持と発汗調整の両方を担うことで、作業中のパフォーマンスと安全性を両立できる。
冬に適した作業着インナー素材と選び方

冬の現場では、インナーの素材選びが防寒性と快適性を大きく左右する。
同じ厚みのインナーでも、素材によって保温力や吸湿性、速乾性などが大きく異なる。
外気温だけでなく、作業強度や発汗量に合わせて適した素材を選ぶことが、汗冷えを防ぎ、体温を安定させるための基本となる。
ここでは、冬に適した作業インナー素材と、その選び方をまとめる。
化学繊維(ポリエステル)
ポリエステルは軽量で速乾性に優れた化学繊維であり、一般的なインナー素材である。
汗を素早く拡散させるため、発汗量の多い現場でも汗冷えを防ぎやすい。また、耐久性が高く、繰り返しの洗濯にも強い。
一方で、静電気を帯びやすく、通気性が低いタイプではムレが生じやすい。
電気機器を扱う現場や火花の飛ぶ作業環境では、静電防止仕様の製品を選ぶことが安全面で重要である。
吸湿発熱素材
吸湿発熱素材は、人体から放出される水分を吸収して発熱する機能を持つ。
ヒートテックをはじめ、国内繊維メーカー各社が高性能タイプを展開している。
軽量で着膨れしにくく、屋内作業や軽作業に適している。
ただし、発汗量が多い環境では湿気がこもりやすく、逆に冷えを感じることがある。そのため、吸湿発熱素材は「寒いが動きが少ない現場」に向いている。
メリノウール
メリノウールは天然素材の中でも特に高い調湿性と防臭性を持つ。
繊維が細く柔らかいため、肌触りがよく、長時間の着用でも不快感が少ない。湿気を吸っても表面がさらりとしており、汗冷えを効果的に防ぐ。
寒冷地での屋外作業や、長時間の待機を伴う現場では特に効果を発揮する。
ただし、価格が高めであり、耐久性は化学繊維よりも劣るため、頻繁な洗濯や高負荷環境では注意が必要である。
綿(コットン)
綿は吸水性に優れ、肌当たりが柔らかい。
一方で、乾きにくいため、一度汗を吸うと湿った状態が続き、汗冷えの原因となる。
静電気が起きにくい上、耐熱性があるため、火気を扱う現場では熱で溶けて肌に貼りつくことがないという安全上の利点がある。
防寒性を高める作業着インナーの正しい着用方法

冬の防寒は服の枚数を増やすよりも、着る順番と素材の組み合わせを整えることが大切である。
体温を保ちながら汗を逃がすためには、肌着・中間着・上着の3層を機能的に構成する必要がある。
まず、肌に直接触れるインナーは速乾性や吸湿発熱性を持つ素材を選ぶとよい。ポリエステルやメリノウールは汗を拡散し、冷えを防ぐ効果が高い。
一方、綿素材は吸水性が高いが乾きにくく、汗冷えの原因になるため避けたほうがよい。
中間着はフリースなど空気を含む素材で保温するが、厚すぎると通気が悪くなり、湿気がこもる。
上着は防風性だけでなく透湿性も必要であり、内部の蒸れを外に逃がす設計が理想である。
さらに、首・手首・足首の「3つの首」を重点的に保温すると、体全体の熱損失を防げる。
ネックウォーマーやリストカバー、厚手の靴下を併用することで、冷えを抑えながら快適な作業環境を維持できる。
作業着インナーで快適性を保つコツ・工夫

冬の現場では、防寒対策だけでなく、快適性と安全性を維持する工夫が欠かせない。
気温が低くても、作業内容によっては発汗や静電気の発生、火気によるリスクが生じる。
これらを放置すると、体調不良や事故につながるため、インナーの素材選びが重要になる。
以下では、作業着インナーで快適性を保つコツをまとめた。
汗とにおいを抑える素材を選ぶ
冬場でも現場では体を動かすことが多く、汗をかくこと自体は避けられない。そのため、汗を「かかないようにする」のではなく、「かいても冷えないようにする」素材選びが重要である。
吸汗速乾性に優れたポリエステルやナイロンなどの化学繊維は、汗を素早く拡散して乾かすことで、汗冷えを防ぐ。
また、抗菌防臭加工を施したインナーは、汗に含まれる雑菌の繁殖を抑え、においの発生を防ぐ効果がある。銀イオンや銅イオンを練り込んだ糸を使用した製品は、抗菌作用が持続しやすく、長時間の作業にも向いている。
一方、綿素材は汗を吸いやすいが乾きにくく、体を冷やす原因になるため冬のインナーには不向きである。
日中の発汗量が多い作業者ほど、吸汗速乾と抗菌防臭の両立した機能素材を選ぶことが快適性維持の条件である。
静電気をためないインナーを選ぶ
冬の乾燥期には、化学繊維の摩擦によって静電気が発生しやすくなる。
静電気は放電時に火花を発生させるだけでなく、粉塵の付着や衣類のまとわりつきによって作業性を低下させる。
特に電気機器、樹脂製品、塗装工程を扱う現場では、帯電が品質や安全に直結する。
これを防ぐには、帯電防止(制電)仕様のインナーを選ぶことが有効である。導電性繊維やカーボン繊維を織り込んだ生地は、体にたまった電気を地面へ逃がす働きを持つ。
また、制電糸を使用したポリエステル系インナーは軽量で動きやすく、静電気防止効果が長期間維持されやすい。
さらに、柔軟剤を使用すると導電性能が低下することがあるため、洗濯時の取り扱いにも注意が必要である。
静電気を抑えることは、快適さだけでなく、現場の安全確保に直結する基本対策である。
火気のある現場は難燃素材を選ぶ
溶接や切断、鋳造、金属加工など火気を扱う現場では、難燃素材のインナーが不可欠である。
一般的な化学繊維は熱に弱く、高温の火花が付着すると溶けて皮膚に貼りつき、重度のやけどを引き起こすおそれがある。これを防ぐためには、難燃繊維や綿混素材を使用したインナーを選ぶことが重要である。
代表的な難燃素材としては、アラミド繊維やモダアクリル、難燃加工を施したコットンなどが挙げられる。これらは火花が当たっても燃え広がりにくく、自己消火性を持つ。
火気環境では、インナーだけでなく中間着やアウターも難燃仕様で統一することが望ましい。
「防寒よりもまず安全」が原則であり、難燃インナーは安全管理の最前線に位置づけられる。
火気のある現場では、作業効率よりも安全性を優先し、必ず難燃性能の明示された製品を採用すべきである。
市販インナーでは解決しきれない現場課題

市販されている多くの作業用インナーは、一般的な使用環境を想定して設計されており、実際の現場作業に完全に適合しているとは言い難い。
現場では屈伸や前傾姿勢を繰り返すため、丈が短いインナーでは腰や背中が露出し、冷気が入り込んで体温を奪うことがある。
また、縫い目やタグの位置が肌にこすれて不快感を与えたり、汗でぬれると肌に貼りついて動きを妨げたりすることも多い。
さらに、難燃性や帯電防止機能、高視認性といった安全面の仕様が不足している製品も少なくない。
火気を扱う作業現場では、一般的な化学繊維が溶融してやけどを引き起こす危険がある。
このように、市販インナーは一見高機能でも、実際の現場環境における動作・安全・耐久性といった要求には対応しきれていない場合が多い。
作業効率と安全性を両立するには、現場特性を理解した上で素材と構造を見直すことが不可欠である。
防寒性と動きやすさを意識したオリジナル作業着も選択肢の一つ

市販インナーでは解決しきれない課題に対し、現場環境や動作に合わせて設計するオリジナル作業着は有効な解決策となる。
作業姿勢・温度条件・安全基準を反映した専用設計により、防寒性と動きやすさ、さらに安全性を一体化できる。
OUCのようなオーダー対応メーカーでは、現場ごとの課題をヒアリングし、素材やパターンを細部まで調整することで快適性を最適化している。
ここでは、社員個別に合ったオリジナル作業着のメリットについてまとめたので、導入を検討している場合は参考にしてほしい。
現場に合わせた設計で動きやすく快適に
現場作業では、立つ・しゃがむ・伸ばすなど、日常とは異なる姿勢が連続する。
そのため、動作を制限しない立体裁断やストレッチ素材の活用が欠かせない。
OUCのオリジナル設計では、作業者の動きをデータ化し、肩・腰・ひざなど可動部の負担を軽減するパターンを採用している。
また、屋外での長時間作業では体温維持が重要なため、通気と保温を両立させる構造が重視される。
ベンチレーションを背部や脇下に配置することでムレを防ぎ、動きながらでも快適さを維持できる。
現場の動線や作業姿勢をもとに設計された作業着は、動きやすさと集中力の維持に直結する。
機能素材を部位ごとに最適配置
防寒・通気という相反する要素を両立させると同時に、安全性も確保するには、部位ごとの機能配置が鍵になる。
OUCのオリジナル作業着では、肩・腕・背中などの可動部にストレッチ素材を採用している。
胴体部には断熱性の高い中綿や吸湿発熱素材を配置するなど、部位別の最適設計を行っている。
また、火気を扱う現場では難燃素材を局所的に使用し、電気設備作業では帯電防止繊維を組み合わせることで、安全性を確保する。
こうした複合素材設計は、作業環境に応じて「もっとも快適で安全なバランス」を実現できる点が強みである。
防寒性・通気性・安全性能を個別にではなく、一体的に調整する発想が、従来の既製品との大きな違いといえるだろう。
見た目にもこだわったデザイン提案
現場での服装は作業効率だけでなく、士気や企業イメージにも影響する。
近年は普段着に近いシルエットや配色を取り入れたデザインが増えており、OUCでも「機能性+デザイン性」を両立させた提案が特徴である。
動きやすく洗練された作業着は、着用者のモチベーションを高め、来訪者や顧客への印象もよくする。
さらに、企業ロゴやコーポレートカラーを統一することで、現場全体の統一感や安全認識の向上にもつながる。
オリジナルデザインは単なる見た目の差別化ではなく、「安全で誇りを持てる職場づくり」を支える要素である。
まとめ
冬の作業現場で快適さと安全性を維持するには、インナーの選定が大きく影響する。
汗を素早く逃がす素材を用い、静電気や火気への対策を講じることで、体温低下やヒヤリハットの発生を防ぐことができる。
また、現場の動き方や環境に合わせて設計されたオリジナル作業着を採用すれば、防寒性と動きやすさの両立が可能になる。
結果として作業効率や従業員の満足度が向上し、企業全体の安全・品質管理にも寄与する。
市販インナーで課題を感じている場合は、専門メーカーやユニフォーム提案企業への相談を検討すべきである。
